自社の損益分岐点を出してみよう

損益分岐点とは、利益が黒字になるか赤字になるかの分岐点のことです。

ではその分岐点はどの数字によって判断するかと言いますと、売上の金額となります。

つまり売上の金額が損益分岐点を超えると黒字になり、損益分岐点に満たない場合は赤字となります。

この損益分岐点は知っておくことは自社の事業をしていく上でとても重要です。

今日は損益分岐点の基本的な出し方を見てきましょう

損益分岐点

Goumbik / Pixabay

計算式

損益分岐点の計算は次の式となります。

 

売上 ー 売上*変動費率 ー 固定費 = 0

 

上記の計算式では、変動費率と固定費がわかれば利益が0となる売上の金額が算出できます。

この売上の金額が損益分岐点となります。

 

それでは少し例題で見てみましょう

わかりやすくするため、売上をXとします。

 

例 変動費率が80%(0.8)    固定費が500万円の場合

 

X ー X *0.8 ー 500万円 = 0

X ー 0.8X  = 500万円

0.2X   = 500万円

X=2,500万円

 

損益分岐点である売上の金額は2,500万円となります。

よって売上の金額が2,500万円を超えると利益が黒字となり、満たない場合は赤字となります。

 

変動費率と固定費

上記の計算式でもわかるように、損益分岐点の売上の金額は変動費率と固定費がわかれば算出できます。

それでは変動費率と固定費について見ていきます。

 

①変動費率

変動費率とは売上に占める変動費の比率のことをいいます。

例えば100万円の売上を出すために、変動費が80万円かかった場合、変動費率は80%となります。

80万円÷100万円=0.8(80%)

 

それでは変動費とはどのような費用でしょうか。

代表的なのが商品仕入代金です。

仕入れた商品がたくさん売れるほど売上は上がります。ただし商品を仕入れるための費用もその分発生します。

この商品仕入代金のように、売上の増減に比例する費用が変動費となります。

※本記事では話を簡潔にするため在庫などの売上原価の計算は考慮していません。

 

②固定費

次に固定費ですが、代表的なものが支払家賃です。

例えば、店舗や事務所などを借りている場合、売上に関係なく家賃は必ず発生します。

またその支払額は売上の増減に関係なく基本一定です。

この支払家賃のように、売上の増減に関係なく一定的に発生する費用が固定費となります。

 

具体的な計算をしてみよう

まず自社の発生する費用の項目を変動費と固定費に分けます。

先ほどの仕入代金や支払家賃のように、明確にこれは変動費、これは固定費と分けることができる費用は良いのですが、どちらが適当なのか迷う費用もあります。

例えば人件費などです。

人件費は売上に比例して発生する費用もありますし、固定的に発生する費用もあります。

厳密な損益分岐点を算出する場合は、費用項目の中でも、変動費部分と固定費部分をきちんと分けて計算するのですが、ある程度の目安としての損益分岐点を算出するときは、どちらの部分が大半を占めているかで判断しましょう。

正社員が多くてほとんど固定給だという場合は全て固定費。

ほとんど売上に連動する歩合給だという場合は全て変動費という感じです。

そして変動費と固定費を分けた後、変動費率を計算します。

 

それでは最後に例題をみて具体的に計算してみましょう

 

例  A商店

・売上(毎月平均)2,500万円

・商品仕入(毎月平均)1,950万円

・人件費(ほぼ固定給)200万円

・荷造運賃(毎月平均)50万円

・水道光熱費(毎月ほぼ一定)60万円

・旅費交通費(行動範囲は毎月ほぼ同じ)30万円

・消耗品費(毎月一定額を購入)10万円

・支払家賃(毎月一定額)100万円

 

まず変動費と固定費に分けます。

費用のうち、商品仕入と荷造運賃は売上に比例して発生する費用です。

よって変動費とします。

変動費の合計額は1,950万円+50万円=2,000万円となります。

 

それ以外の人件費、水道光熱費、旅費交通費、消耗品費、支払家賃は売上に関係なく毎月一定額発生しそうです。

よって固定費となります。

固定費の合計額は、200万円+60万円+30万円+10万+100万=400万円となります。

 

変動費と固定費に分けたあとは、変動費率を算出します。

売上が2,500円、変動費が2,000円なので変動費率は80%となります。

2,000円÷2,500円=0.8

 

最後に変動費率と固定費から損益分岐点である売上の金額を出します。

求める売上の金額をXとします。

 

損益分岐点の計算式

X −0.8X − 400万円 = 0

0.2X = 400万円

X = 2,000万円

 

損益分岐点である売上の金額は2,000万円となりました。

よってA商店の場合、月の売上の金額が2,000円を超えると黒字となり、満たない場合は赤字となります。

 

まとめ

今日は損益分岐点の計算方法をみてきました。

本記事の内容はざっくりとした損益分岐点の出し方です。

ざっくりではありますが、ある程度の目安にはなります。

ご参考までに、自社の損益分岐点を一度計算してみていただければと思います。

 

※この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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