30万円未満の少額減価償却資産の特例について。上限額の300万円を超えたらどのように処理する?

青色申告の特典の1つである30万円未満の少額減価償却資産の特例。

中小企業者等が30万円未満の資産を購入した場合、全額を一括して経費に計上できる特例です。

ただしこの特例は少額減価償却資産の購入金額の合計額が年間300万円以下までという限度額があります。

今日はこの少額減価償却資産の特例について、その購入金額の合計額が300万円を超えたときの取り扱いについてご紹介します。

 

少額減価償却資産

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少額減価償却資産の特例とは

物を買った場合で、その購入金額が10万円未満のときは、全額を一括して経費に計上できます。購入金額が10万円を超えるものについては、資産に計上することになります。(資産に計上した後、期間に応じて減価償却で経費にしていきます。)

青色申告の特典である少額減価償却資産の特例とは、全額経費にできる購入金額の基準が10万円未満ではなく、30万円未満となります。

よって30万円未満の物を買ったときは、全額一括して経費にできます。

全額経費にするメリットとしては、全額経費にできる分、早期に税金負担を減らすことができます。

 

300万円を超えた場合

この少額減価償却資産の特例は、年間の購入金額の合計額が300万円以下までと限度額があります。

300万円を超えた場合は、その超える部分の金額については、この特例の適用を受けることはできません。

よってこの超える部分の金額は、経費にできず、資産に計上することになります。

ここで、300万円までの購入金額の合計額がピッタリ300万円となれば、「300万円以下は経費」、「300万円を超える部分は資産」としてわかりやすいのですが、300万円ピッタリとなるケースはあまりないでしょう。

それでは300万円を超えるときは、具体的にはどうように処理するのでしょうか?

数字を使った例題で見てみます。

 

例題

例題 16万円の少額減価償却資産を20個買った場合

20個の場合は、16万円✕20個=320万円となり、300万円を超えています。

19個の場合は、16万円✕19個=304万円となり、これも300万円を超えてしまいます。

この場合、300万円を経費に計上して、残りの4万円を資産に計上することはできません。

18個の場合は、16万円✕18個=288万円となり、300万円以下となります。

よって18個の合計額である288万円を経費に計上して、残りの2個の合計額である32万円を資産に計上することになります。

 

まとめ

今日は少額減価償却資産の特例について、その購入金額の合計額が300万円を超えたときの取り扱いについてご紹介しました。

300万円を超えるときは、ピッタリ300万円までを経費に計上して、残りの金額を資産に計上することはできません。

あくまでも個数単位の金額で300万円以下までの金額を経費に計上します。

 

※この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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