法人設立後、代表者への給料はどうなる?役員報酬額の決定から支給まで

法人を設立後、代表者に給料を出す場合、取り扱いは役員への報酬となります。

この役員報酬を支給する場合、法人の設立後3ヶ月以内に支給額を決定しなければなりません。

決定後に支給します。

今日は、役員報酬額の決定から支給までの一連の流れをみていきます。

役員報酬

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役員報酬額の決定

役員報酬を支給する場合、法人の設立後3ヶ月以内に株主総会で支給額を決定します。

例えば法人の設立が9月4日の場合、12月3日までに支給額を決定します。

設立開始月の9月から支給しても良いですし、2ヶ月経過後の11月から支給しても良いです。

 

ただし、この最初に決めた役員報酬の金額は、その設立事業年度終了の日までは原則変更することができません。

(役員の職位変更や業績悪化などの特殊要因がある場合はこの限りではないです。)

 

例えば、設立事業年度が9月3日〜8月31日の場合、8月31日までは変更することができません。

次の事業年度の9月1日〜11月30日の3ヶ月以内に変更することができます。

 

※役員報酬額を決定したときの株主総会議事録は作成して保管しておきましょう

 

役員報酬から天引きするもの

役員報酬額が決定すると次は実際に支給します。

決定した役員報酬額をそのまま支給しません。

役員報酬額から次の社会保険料や税金を天引きします。

 

①健康保険料

②介護保険料

③厚生年金保険料

④源泉所得税

⑤住民税

 

それでは順番に内容を見ていきます。

 

①健康保険料

法人の代表者は、市町村の国民健康保険から外れ、健康保険に加入することになります。

以下の①②③の社会保険料の金額は届け出た標準月額報酬額を基準に計算した金額となります。

 

②介護保険料

40歳以上の方は、健康保険料と合わせて介護保険料も別途かかります。

40歳未満の方は介護保険料はかかりません。

 

③厚生年金保険料

法人の代表者は、厚生年金に加入することになります。

厚生年金は国民年金を含んでいます。

よって厚生年金保険料を払うことで国民年金保険料を別途払う必要はありません。

 

④源泉所得税

源泉所得税は、役員報酬額から上記①②③を控除した後の金額を対象に計算します。

基本的に代表者はその法人での職務がメインだと思いますので、源泉所得税は甲欄で計算することになります。

 

⑤住民税

毎年6月に市役所から送られてくる前年分の住民税の支払いを、法人経由での支払いに変更することができます。

その場合、役員報酬額から毎月の住民税を天引きし、会社が代わりに市役所に支払います。

(特別徴収制度といいます)

 

※労災保険と雇用保険は、代表者は原則加入できません。よって保険料も発生しません。

 

例題

それでは役員報酬額の支給について例題でみてみましょう

 

例題

代表者の年齢45歳

役員報酬額250,000円

通勤交通費10,000円

健康保険料13,221円

介護保険料2,021円

厚生年金保険料23,790円

源泉所得税5,130円

住民税の特別徴収額15,000円

 

まず総支給額は役員報酬額と通勤交通費の合計額で260,000円となります。

 

この総支給額から社会保険料と税金を天引きします。

260,000円ー13,221円ー2,021円ー23,790円ー5,130円ー15,000円=200,838円

天引き後の支給額は200,838円となります。

 

また最初の支給に関しては社会保険料を天引きしないことが多いです。

それは社会保険料の支払いが翌月末からになるので、翌月の役員報酬額から当月分の社会保険料を天引きすることが多いからです。

よってその場合の支給額は

260,000円ー6,530円ー15,000円=238,470円

となります。

社会保険料の有無により、源泉所得税の金額も変わります。

(5,130円→6,530円)

このあたりの詳細はまた別の記事でご紹介します。

 

まとめ

今日は役員報酬額の決定から支給までみてきました。

今日のポイントは次となります。

・役員報酬額は法人設立後3ヶ月以内に決める

・原則次の事業年度まで変更できない

・社会保険料や税金を天引きした後の金額が手取額となる

 

役員報酬にかかる社会保険料や税金の具体的な計算方法はまた別の記事でご紹介したいと思います。

 

※この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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