税抜方式で簡易課税を選択しているときの消費税の会計処理について

会計処理は税抜方式。

消費税の計算は簡易課税。

このようなケースを選択している場合、消費税の会計処理はどうなるのでしょう?

今日は税抜処理かつ簡易課税を選択しているケースについて、消費税の会計処理についてご紹介します。

 

簡易課税 税抜処理

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税抜方式+原則課税の場合

税抜方式の場合、仮払消費税と仮受消費税という科目を使います。

そして最終的に両者の差額を未払消費税という科目で処理します。

 

たとえば、卸売業をしている会社で、仕入金額が税込で86,400円と売上108,000円の取引があった場合、

仕入れの仕訳は

仕入   80,000円 現金預金 86,400円
仮払消費税 6,400円  

 

 

売上の仕訳は

現金預金 108,000円 売上  100,000円
  仮受消費税 8,000円

 

となります。

 

仮に当期の取引がこれだけだった場合、消費税の最終的に行う会計処理は、

仮受消費税 8,000円 仮払消費税 6,400円
  未払消費税 1,600円

 

となります。

消費税を原則課税で計算している場合は、基本的に納める消費税の金額は1,600円となり、この未払消費税1,600円と一致します。

 

 

《参考》

 

厳密には仮払消費税と仮受消費税の差額分である未払消費税の金額は、円未満の端数処理の関係で、原則課税で計算した実際に納める消費税の金額と少額ですがズレることが多いです。

 

また少し専門的な話になりますが、課税売上割合が5億円を超えていたり、課税売上割合が95%未満の場合は、控除対象外消費税額等が発生してその金額分のズレが生じます。

 

このあたりの話はまた別の機会でご紹介します。

 

 

税抜方式+簡易課税の場合

原則課税では、基本的には未払消費税と原則課税で計算した消費税は一致するので、別途必要な処理はないのですが、簡易課税の場合は必要となってきます。

 

先ほどの例題でいうと、最終的な仕訳での未払消費税は1,600円です。

原則課税では納める消費税は1,600円でしたが、簡易課税で計算すると納める消費税の金額は変わります。

 

簡易課税は、本来の仕入れにかかる消費税を使わずに、みなし仕入率というものを使って消費税を計算します。

売上にかかる消費税にみなし仕入率を乗じて仕入れにかかる消費税を計算します。

 

このみなし仕入率は事業形態によってあらかじめ決められています。

卸売業の場合は90%です。

 

先ほどの例題で計算すると、

売上にかかる消費税は、

100,000円*8%=8,000円

となります。

 

仕入にかかる消費税は、

8,000円*90%=7,200円

となります。

 

よって消費税の金額は

8,000円ー7,200円=800円

となります。

 

簡易課税で計算した消費税の800円が実際に払う消費税なので、未払消費税1,600円を800円に修正しなくてはなりません。

 

よって修正の仕訳は、

未払消費税 800円 雑収入 800円

 

となります。

 

今回のケースは簡易課税で計算した金額の方が少なかったので、差額分を雑収入となりましたが、反対に多かった場合は、差額分を雑損失で処理します。

 

また上記の仕訳ですが、次のように一括で仕訳しても良いです。

仮受消費税 8,000円 仮払消費税 6,400円
  未払消費税 800円
  雑収入   800円

 

 

 

まとめ

今日は税抜方式かつ簡易課税を選択している場合の消費税の会計処理についてご紹介しました。

簡易課税で計算すると、計算方法が違うので、期中で計算した仮払消費税と仮受消費税の差額分である未払消費税の金額とズレが生じます。

この差額分は雑収入又は雑損失で処理します。

またこの処理は税抜方式のみです。

税込方式を採用しているときは、原則課税でも簡易課税でもこのような処理は発生しません。