短期の安全性を分析!代表的な指標である流動比率と当座比率とは?

安全性を分析する代表的な指標として、流動比率と当座比率があります。

これらは、安全性の分析でも特に短期の安全性をみるものです。

これらの指標は高ければ安全性が高いことになりますが、高すぎると今度は収益にうまく貢献できていないといったことも考えられます。

よってバランスを見る上でもかかせません。

 

今日は流動比率と当座比率を中心に短期の安全性分析についてご紹介します。

 

流動比率 当座比率

rawpixel / Pixabay

 

 

流動比率

流動比率は流動資産と流動負債を使って計算します。

計算式は次のとおりです。

流動比率=(流動資産/流動負債)*100%

 

この流動比率は、短期の支払能力が高い流動資産で、早期返済の流動負債をどれだけ賄えているかを分析することができます。

たとえば流動比率が200%の場合、流動負債の2倍の流動資産を持っているとことになります。

 

この流動比率は高いほど安全性が高いとされます。

一般的には流動比率は200%がひとつの目安ポイントとなるのですが、なかなか達成するのは難しいところもあります。

また流動資産には、1年以内に簡単に現金化できない資産も含まれています。

たとえば棚卸資産です。

棚卸資産は、営業サイクルに入っている資産なので流動資産に含まれていますが、1年以内に売れないものもあるかもしれません。この場合、安全性を見る上では不完全です。

 

そこでもう少し厳格に見る指標として当座比率があります。

私は安全性を見る上ではこちらの数字を重視しています。

 

 

当座比率

当座比率は、当座資産と流動負債を使って計算します。

流動比率と違うのは分子が流動資産から流動負債に変わったところです。

計算式は次のとおりです。

当座比率=(当座資産/流動負債)*100%

 

まず当座資産ですが、一般的には、現金預金、売掛金、有価証券(いつでも売ることができるもの)を指します。

またその他の流動資産でも1年以内に確実に現金化できるものは、当座資産に含めるといった考え方もあります。

 

この当座比率も流動比率と同じく、数字が高いほど安全性が高いといえます。

一般的な目安は100%とされています。

100%以上だと流動負債以上の当座資産を持っていることになりますので、短期的な返済能力を有していると言えます。

 

 

その他の指標

またその他の安全性の分析として、余裕資金を見る指標もあります。

余裕資金は、手元の資金から利子が発生する負債を引いて計算します。

計算式は次のとおりです。

余裕資金=手元資金ー有利子負債

 

手元資金は、現金預金や有価証券などすぐに現金化できるものです。

有利子負債は、借入金や社債、リース債務など利子が発生する負債です。

 

手元資金から有利子負債を引いた結果がプラスだと実質無借金と同じです。

ただしあまり余裕資金が多すぎると、お金を寝かしていることになりますので、投資に回すなどの収益性とのバランスを考えることが大事となってきます。

 

 

まとめ

今日は、短期の安全性を分析する流動比率や当座比率を中心に見てきました。

どちらも高い数字のほうが安全性が高いといえます。

またこれらの短期の指標は資産と負債を流動と固定にきちんと分けていないと分析はできません。

細かい箇所は良いとしても、大きく影響が出るような項目については、きちんと区分しておきましょう。

ポイントは流動と固定を1年以内で区分することです。

 

※この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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