H30年の年末調整は配偶者控除および配偶者特別控除の改正あり。配偶者控除等申告書の記載方法をご紹介します。

H30年の年末調整については、配偶者控除および配偶者特別控除の改正により「配偶者控除等申告書」という新たな提出書類があります。

他の年末調整の書類と同様にご本人が記載して会社に提出します。

今回はこの「配偶者控除等申告書」の記載方法についてご紹介します。

配偶者控除等申告書

配偶者控除および配偶者特別控除の改正

H30年より配偶者控除および配偶者特別控除が改正されました。

どのように改正されたかといいますと、

次の2つの要件を両方とも満たす場合に限り、配偶者控除または配偶者特別控除の適用があります。

  • 本人の年間所得が1,000万円(給料のみの場合は1,220万円)以下
  • 配偶者の年間所得が123万円(給料のみの場合は201万円)以下

 

また反対に言い換えると、

本人の年間所得が1,000万円(給料のみの場合は1,220万円)を超える場合

または

配偶者の年間所得が123万円(給料のみの場合は201万円)を超える場合

は配偶者控除および配偶者特別控除は「なし」となります。

 

配偶者控除等申告書の記載方法

それでは、「配偶者控除等申告書」の記載方法をご紹介します。

次の配偶者控除等申告書をご覧ください。

配偶者控除等申告書

配偶者控除等申告書

①から④の順番に記載していくとわかりやすく計算できます。

 

①(黄色)

本人と配偶者の氏名等を記載します。

 

②(橙色)

左に本人の所得を、右に配偶者の所得を記載します。

ここの記載方法ですが、給与所得については、必要経費等の欄に射線が引いています。これは給与所得控除というあらかじめ給料収入から引くことができる金額が決められているからです。この給与所得控除後の給与所得の金額は次の表から計算できます。

(こちらの計算表は配偶者控除等申告書の裏面に記載されています)

給与所得控除

給与所得の計算表

 

③(緑色)

②で求めた本人と配偶者の所得金額の合計額を③の欄にそれぞれ当てはめて、どの区分に該当するか判定します。

(配偶者は70歳以上か否かでも判定が変わります)

 

④(紫色)

③で判定した結果を④の表に当てはめます。縦軸の区分Ⅰが本人の判定、横軸の区分IIが配偶者の判定です。両者が交わる欄に記載されている金額が、配偶者控除または配偶者特別控除の金額となります。

 

具体例

それでは具体的な数字でみてみましょう

例1

  • 本人の給料が1,500万円
  • 配偶者の給料が100万円

 

本人の給料が1,220万円を超えているので配偶者控除と配偶者特別控除は「なし」となります。

 

例2

  • 本人の給料が600万円
  • 配偶者の給料が300万円

 

配偶者の給料が201万円を超えているので配偶者控除と配偶者特別控除は「なし」となります。

 

例3

  • 本人の給料600万円 
  • 配偶者の給料100万円(年齢35歳)

 

①(黄色)

本人と配偶者の氏名等を記載します。

 

②(橙色)

まず本人の給料が600万円ですので、給与所得控除後の給与所得の金額は、

6,000,000円÷4=1,500,000円 

1,500,000円*3.2ー540,000円=4,260,000円

となります。

他の所得がないので4,260,000円が合計額となります。

 

次に配偶者の給料は100万円なので、給与所得控除後の給与所得の金額は、

1,000,000円ー650,000円=350,000円となります。

他の所得がないので350,000円が合計額となります。

 

③(緑色)

本人の所得は4,260,000円ですので判定は、「900万円以下」の(A)となります。

配偶者の所得は350,000円です。また年齢は35歳なので判定は、「38万円以下かつ年齢70歳未満」の②となります。

 

④(紫色)

縦軸の区分Ⅰは(A)、横軸の区分IIは②となります。

両者の交わる欄の金額は380,000円です。

よって配偶者控除の金額は380,000円となります。

(配偶者控除か配偶者特別控除のどちらに該当するのかは、交わった欄の一番下の欄に記載があります)

 

例4

  • 本人の給料1,200万円 
  • 配偶者の給料170万円(年齢50歳)

 

①(黄色)

本人と配偶者の氏名等を記載します。

 

②(橙色)

まず本人の給料が1,200万円ですので、給与所得控除後の給与所得の金額は、

12,000,000円ー2,200,000円=9,800,000円 

となります。他の所得がないので9,800,000円が合計額となります。

 

次に配偶者の給料は170万円なので、給与所得控除後の給与所得の金額は、

1,700,000円÷4=425,000円 

425,000円*2.4=1,020,000円

となります。

他の所得がないので1,020,000円が合計額となります。

 

③(緑色)

本人の所得は9,800,000円ですので、判定は「950万円超1,000万円以下」の(C)となります。

配偶者の所得は1,020,000円です。判定は「85万円超123万円以下」の④となります。

 

④(紫色)

縦軸の区分Ⅰは(C)、横軸の区分IIは④の「100万円超の105万円以下」となります。

両者の交わる欄の金額は70,000円です。

よって配偶者特別控除の金額は70,000円となります。

 

まとめ

今日は配偶者控除等申告書の記載方法についてみてきました。

新しい提出書類なので最初は戸惑うと思いますが、順番に計算して各欄に数字を当てはめていけば金額を求めることができます。

本記事が参考になれば幸いです。

 

※この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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