消費税の課税事業者になると、消費税を納めなくてはなりません。
この納める消費税の計算ですが、原則課税と簡易課税という2つの計算方法があります。
今日はこの原則課税と簡易課税についてご紹介します。
良ければこちらの記事もどうぞ
原則課税と簡易課税
原則課税は預かった消費税と支払った消費税を計算して納める消費税を算出します。
この原則課税は、全ての取引を消費税取引に該当するかどうかを区分して消費税を計算します。
簡易課税は預かった消費税を計算して、支払った消費税については預かった消費税にあらかじめ決まった率をかけて計算して、納める消費税を算出します。
よって簡易課税は、収入の取引のみ消費税取引に該当するかどうかを区分して消費税を計算します。
簡易課税は収入の取引のみを消費税取引に該当するかどうかを区分すれば良いので、原則課税に比べて簡易課税のほうがその言葉どおり実務的には簡易といえます。
簡易課税の要件
ただしこの簡易課税を選択するには次の要件を満たす必要があります。
①2年前(基準期間)の課税売上高が5,000万円以下
②事前に簡易課税制度選択届出書の提出
例えば簡易課税を選択しようとする事業年度が2019年4月1日から2020年3月31日の場合。
2年前(基準期間)の事業年度である2017年4月1日から2018年3月31日の課税売上高が5,000万円以下でないといけません。
また事前に簡易課税制度選択届出書を提出していないといけないのですが、この届出書の提出期限は適用しようとする事業年度の開始の日の前日までです。このケースの場合は2019年3月31日が提出期限となります。この期限までに届出書を提出していないとこの事業年度については簡易課税を選択することはできません。
《参考》
ここでいう課税売上高とは、通常の売上の概念より広く、売上以外の収入も含みます。
これらの収入のうち消費税取引に区分される金額を課税売上高といいます。
どちらを選択する?
簡易課税のほうが実務的には簡易なのですが、選択する基準はやはり納める消費税の金額が低くなる方だと思います。
ただし選択するタイミングはその事業年度が始まる前なので、あくまで予想の数字での検討となります。
また簡易課税は一度選択すると原則2年間は強制適用となります。つまり1年間だけ簡易課税で、その次の1年間は原則課税とすることができません。よって2年間のトータルでどちらが有利になるかを検討しなければなりません。
特に大きな設備投資などを予定している場合は、原則課税で計算したほうが支払った消費税の金額が大きくなって有利になる可能性が高いので、慎重に検討したほうが良いでしょう。
【注意】
なお、簡易課税制度選択届出書を提出している場合であっても、基準期間である2年前の課税売上高が5,000万円を超える場合には、その事業年度については簡易課税は適用できません。
まとめ
今日は消費税の原則課税と簡易課税について見てきました。
簡易課税は一度選択すると原則2年間の強制適用です。もし選択される場合は慎重に検討しましょう。
また原則課税に再度戻す場合は、今度は適用の取りやめの届出書を提出しなくてはなりません。この届出書の提出がないと、原則課税で計算したくても簡易課税のままです。この届出書の提出を失念してトラブルになっているケースが多いです。
簡易課税を選択した場合は、入口だけでなく出口のことも気をつけておきましょう。