印紙税は文書課税です。
契約書や領収書などの文書を作成したら、印紙を貼る必要があるのかを確認しなくてはなりません。
今日は印紙漏れがあった場合など、印紙税の基本的なことについてご紹介します。
印紙税の対象となる文書
印紙税の対象となる文書は次の一覧表で規定されています。全部で20種類あります。
作成した文書がこの20種類のいずれかに該当した場合は、該当する金額の印紙をその文書に貼らなくてはなりません。
例えば、5万円以上100万円以下の領収書を発行した場合は、17番の課税文書に該当し、200円の印紙を貼る必要があります。
印紙漏れがあった場合
もし印紙税の対象となる文書に印紙を貼っていない場合、どうなるのでしょうか?
印紙漏れがあった場合は、過怠税が発生します。この過怠税の金額は、本来の印紙税の金額とその本来の印紙税の2倍の金額の合計額となります。よって本来の印紙税が10万円だった場合、過怠税は合計で30万円となります。つまりきちんと印紙を貼っていれば10万円だったところ、印紙漏れがあった場合は3倍の印紙税がかかります。
ただし印紙を貼っていないことをこちらから申し出た場合、過怠税は本来の印紙税の1.1倍の金額となります。先程のケースだと過怠税は10万円の1.1倍である11万円となります。
通常、印紙については税務調査で指摘されます。実務上は、税務調査で印紙漏れの指摘があった場合でも、1.1倍の過怠税で済むケースが多いです。ただし一度貼った印紙を再使用してる場合など、悪質なケースと判断されたときは、3倍の過怠税が課せられます。
また印紙は必ず消印しなければなりません。消印をしていない場合、通常の印紙税とは別に同金額の過怠税がかかります。1.1倍の過怠税より罰則が重いのは、再使用を防ぐためです。それだけ再使用は悪質だとされています。
過怠税は税務上の損金にならない
過怠税を課せられた場合、この過怠税は税務上の損金(必要経費)になりません。つまり税金の計算上の経費になりません。
10万円の印紙漏れのケースで見てみましょう。
- 1.1倍の過怠税を課せられたときは、11万円の全額が損金になりません。
- 3倍の過怠税を課せられたときは、30万円の全額が損金になりません。
- 消印をしていない場合は、過怠税はあくまで本来の印紙税と同金額なので、印紙税は合計で20万円となりますが、そのうち消印をしていない本来の印紙税の10万円は損金となり、過怠税の10万円は損金になりません。
電子データやコピーなら課税されない
印紙税は紙の文書が対象となります。
つまり紙の文書を作成しなければ印紙税が課されることはありません。よって電子契約などの電子データについては印紙税の対象となりません。
たとえば、会社の定款を紙の文書で作成すると4万円の印紙が必要ですが、電子定款にすると印紙は必要ありません。4万円の節約になります。
またコピーやFAXなど、原本を複製したものについては印紙は貼らなくてもよいです。契約書を作成した場合、原本は1部だけにして、その原本のコピーを関係者に渡せば、その分の印紙税を節約することができます。ただし、コピーしたものに原本照合のために再度印鑑を押している場合などは、印紙税の対象となります。
まとめ
今日は印紙漏れがあった場合など、印紙税の基本的なことについてご紹介しました。
通常、印紙漏れがあった場合は3倍の過怠税が課せられますが、実務上は1.1倍の過怠税で済むケースが多いです。ただし過怠税はその金額の全額が税務上の損金にならないというデメリットも大きいです。
契約書や領収書など、紙による文書を作成した場合は、印紙を貼る必要があるか確認するようにしましょう。