損益分岐点を計算して経営安全率を確認しておこう

損益分岐点とは損益が黒字になるか赤字になるかの境目となる売上金額のことをいいます。

売上の金額が、損益分岐点の金額より大きければ黒字となり、反対に低くければ赤字となります。

よって赤字から黒字になる損益分岐点を把握しておくことは、事業をしていく上でとても重要となります。

特に開業するときや、新規事業を展開するときは、まずは損益分岐点を超えることが、当初の目安の数字となります。

 

損益分岐点についてはこちらの記事にも書いています。

 

損益分岐点の出し方

損益分岐点の計算式は次のようになります。

X   ー X*変動費率 ー 固定費 = 0

 

Xの数字が損益分岐点の売上の金額となります。

この方程式をひも解いていくと、

 

X   ー X*変動費率 ー 固定費 = 0

X   ー X*変動費率 = 固定費

(1ー変動費率)*X = 固定費

X = 固定費 /(1ー変動費率)

 

となります。

 

つまり、損益分岐点は、変動費率と固定費がわかれば計算できます。

 

それでは変動費率と固定費についてみていきます。

 

変動費率とは、売上金額に占める変動費の割合のことです。

変動費とは売上に連動して発生する費用です。

たとえば、100円の商品を1つ売るのに、その商品の仕入代金として60円と配送代として10円がかかった場合。これを2つ売るときは、倍の120円と20円がかかります。

この仕入代金と配送代のように、売上に連動して増える費用のことを変動費といいます。

この場合の変動費率は70%となります。(140円/200円=70%)

 

次に固定費です。

固定費は売上に関係なく発生する費用です。

たとえば、地代家賃などの費用が該当します。

事務所や店舗を借りている場合、売上が仮にゼロでも地代家賃は発生します。

よって固定費となります。

 

このように事業により発生した費用を変動費と固定費に分けて、変動費率を固定費を計算します。

 

例題

1つ例題を見てみます。

以下の場合の月額の損益分岐点はいくらになるでしょう?

  • 変動費率80%
  • 月の固定費300万円

 

損益分岐点の計算式は次のとおりです。

X = 固定費 /(1ー変動費率)

 

数字を当てはまると、

X     = 300万円 /(1ー80%)

X     = 300万円 / 20%

X     = 1,500万円

 

月額の損益分岐点は1,500万円となります。

 

よって、月の売上が1,500万円を超えると黒字になり、反対に1,500万円未満だと赤字になります。

 

経営安全率

損益分岐点の金額から経営安全率をみることができます。

たとえば上記の例題の場合、月額の損益分岐点は1,500万円でした。

実際の売上が2,000万円だった場合、損益分岐点との差額は500万円です。

つまりこの500万円までは、売上が下がっても赤字にならずにすみます。

 

これを率にして計算すると、今の売上から何%減までは赤字にならないという経営安全率がわかります。

 

実際の売上金額と損益分岐点との差額は500万円です。

この500万円を実際の売上金額2,000万円で割ると経営安全率が計算できます。

計算すると、経営安全率は25%となります。(500万円/2,000万円=25%)

つまり今の売上から25%減までは赤字にならないことがわかります。

 

 

まとめ

今日は損益分岐点について見てきました。

損益分岐点を計算するには、変動費と固定費の数字が必要です。

ただし全ての費用を変動費と固定費に正確に分けるのは難しいです。

よって最初はざっくりな数字でも良いので、まずは計算してみましょう。

 

また損益分岐点の金額が分かっていると、経営安全率を計算することができます。

経営安全率は、赤字になってしまう売上まであとどれくらい余裕があるのかを減少率でみることができます。

よってリスク管理にも役立ちますので、損益分岐点の計算と合わせて覚えておきましょう。

 

 

※この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

財務分析