知人から「自宅を買い換えたいんですけど、住宅ローン控除てどうなりますか?」との質問を受けました。
基本的には新しく買う自宅でも住宅ローン控除の要件を満たしていれば、住宅ローン控除を受けることができます。
ただし売却した自宅について税制上の他の特例を受ける場合は、住宅ローン控除を受けれないケースがあります。
今日は自宅を買い換えた場合の住宅ローン控除についてご紹介します。
新しい自宅での住宅ローン控除について
自宅を買い換えた場合、新しく購入する自宅でも住宅ローン控除の要件を満たすときは、住宅ローン控除の適用を受けることができます。
この場合、新しい自宅で新規に住宅ローン控除の適用を受けるということになります。よって自宅の購入額や借入額などにより控除額が異なります。
住宅ローン控除を受けれないケース
ただし売却した自宅において、次の特例を受ける場合は、住宅ローン控除は受けれません。
①居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
②居住用財産を売ったときの軽減税率の特例
③特定の居住用財産の買換えの特例
つまり住宅ローン控除はこれらの特例との併用はできないということです。
それではそれぞれについてどのような特例なのかをみていきます。
①3,000万の特別控除の特例
自宅を売って利益が出た場合で、一定の要件を満たすと、売却益の3,000万円までは税金がかかりません。
②軽減税率の特例
自宅を売って利益が出た場合で、一定の要件を満たすと、売却益に以下の軽減税率が適用されます。
- 6,000万円までの部分 14.21%(所得税及び住民税)
- 6,000万円を超える部分 20.315%(所得税及び住民税)
この特例は上記①の特例と併用できます。
③買換えの特例
自宅を売って新しい自宅を買った場合で、一定の要件を満たすと、売却益を新しい自宅を売る時まで繰越せます。
こちらの特例は利益の繰越しなので、税金の軽減ではなく、税金の繰延となります。
上記の3点は、いずれも売った自宅に対して売却益が出た場合の特例です。それでは、売却損が出た場合はどうでしょう。この場合も税制上の特例があります。
仮に自宅を売って損が出た場合、一定の要件を満たすと、「居住用財産を買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を使えます。この特例を使うと他の所得と売却損を損益通算できます。また損益通算した後も損失が残る場合、その損失を翌年以降3年間繰り越すことができます。
この特例を使って損益通算をすることで税金負担が発生しなければ、住宅ローン控除の効果がありません。損失がなくなり、税金負担が発生してから、住宅ローン控除により税金が軽減されます。住宅ローン控除は住んだ年から10年間の適用ですので、この特例を使う場合は、10年間全ては適用できないかもしれません。
併用できるケース
住宅ローン控除と3,000万の特別控除などの特例が併用できないのは、住宅ローン控除は「住んだ年とその前後2年間に上記の特例などを受けていないこと」という規定があるからです。
よってこの併用できない期間を過ぎると住宅ローン控除も使うことができます。併用できない期間は新しい自宅を買わず賃貸などで過ごし、期間を過ぎてから新しく自宅を買えば、住宅ローン控除も受けれます。
まとめ
今日は自宅を買い換えたときの住宅ローン控除についてご紹介しました。
基本的には新しい自宅でも適用を受けれるのですが、他の特例との併用ができません。
自宅を買い換える場合で、一定の要件を満たし他の特例も使えるときは、住宅ローン控除を使ったほうが良いのか又は他の特例を使ったほうが良いのかよく検討する必要があります。