以前、ROAの計算式を分解してより詳細な分析ができることをご紹介しました。
ROEも計算式を分解することができます。
今日はこのROEの計算式についてみていきます。
ROAの記事はこちらです。
ROEの計算式
まずROEとは自己資本利益率といって、自己資本を使ってどれくらい利益をあげているかを見る指標です。
このROEの計算式は、
ROE = 利益/自己資本
となります。
この数字が高いほど、自己資本を効率良く使って利益を上げていることになります。
今日はこの計算式を分解していきます。
1段階目の分解
ROEの計算式は2段階で分解できます。
まず1段階目の分解です。
ROE=(利益/資産) * (資産/自己資本)
このように資産を入れて分解します。
この計算式の左部分の(利益/資産)は、ROAの計算式です。(ROA=利益/資産)
つまりROEは、
ROE = ROA *(資産/自己資本)
となります。
次に右部分の(資産/自己資本)は、財務レバレッジといって、資産は自己資本の何倍でできているかをみる指標です。
言い換えれば、資産のうち自己資本以外の部分つまり他人資本がいくら投入されているかをみる指標です。
よって、この財務レバレッジが大きいほど、資産に占める他人資本の割合が大きいことになります。
つまりROEは、ROAが同じ数字だとすると、他人資本をより投入して利益を稼いでるほうが高い数字になります。
この財務レバレッジですが、ROEをみると数字が大きいほうが、効率良く利益を稼いでいることになり良い結果となりますが、財務面からみるとあまり良いとは言えません。
財務レバレッジが大きいということは資産における他人資本の割合が多いということなので、財務の安定性という観点からは、良くありません。
この収益性と安定性のバランスが難しいところです。
2段階目の分解
次に2段階目の分解です。
先ほどの1段階目の分解後の計算式は次のとおりです。
ROE = ROA(利益/資産)*(資産/自己資本)
この左部分のROAは次のように分解できます。
ROA= (利益/売上)* (売上/資産)
今度は売上を入れて分解します。
つまりROEの計算式は最終的に次のようになります。
ROE=(利益/売上)* (売上/資産)* (資産/自己資本)
この計算式を各項目ごとに算出する指標に置き換えると、
ROE=(売上高利益率)*(資本回転率)*(財務レバレッジ)
となります。
このように各指標ごとに分解すれば、ROEの数字を過年度と比較するときなどにどの指標が原因でそうなったのかを詳細に検討することができます。
売上高利益率と資本回転率についてはこちらの記事で書いています
まとめ
今日はROEの計算式を3つの指標に分解する方法をご紹介しました。
計算式を分解し、各指標ごとの数字を出すことで、詳細な分析をすることができます。
ぜひ自社の分析に使ってみていただければと思います。