源泉所得税の一連の仕訳から納付書の書き方まで【納期の特例】

前回、源泉所得税の仕訳から納付書の書き方までご紹介しました。

今回はその源泉所得税について「納期の特例」を適用している場合についてご紹介します。

 

納期の特例

納期の特例とは、常時10人未満の会社や事業者が税務署に申請し承認を得ることで、適用できる制度です。

通常、毎月納付するものが、この特例を受けることで、半年に1回にまとめての納付となります。

納付の期限は7月10日と1月20日の年2回です。(納付期限が土日にあたる場合は翌営業日となります)

事務の煩雑さの軽減やキャッシュが出ていくのが後になるといったメリットもありますが、反対に年2回の納付なので忘れがちになる、一度に半年分のキャッシュが出ていくので資金繰りに注意が必要といったデメリットもあります。

ただ、メリットの方が大きいと思われるので、通常適用できる会社ならこの特例を適用している場合が多いです。

 

仕訳

今回も簡単な設例でみていきましょう。

①令和2年1月28日に従業員に次の給料を支払った

借方 金額 貸方 金額
給料 300,000円 預り金 8,420円
普通預金 291,580円

 

②1月31日に税理士に次の報酬を支払った

借方 金額 貸方 金額
報酬 30,000円 預り金 3,063円
普通預金 26,937円

 

③2月26日に従業員に次の給料を支払った

借方 金額 貸方 金額
給料 300,000円 預り金 8,420円
普通預金 291,580円

 

④2月28日に税理士に次の報酬を支払った

借方 金額 貸方 金額
給料 30,000円 預り金 3,063円
普通預金 26,937円

 

⑤3月28日に従業員に次の給料を支払った

借方 金額 貸方 金額
給料 400,000円 預り金 16,510円
普通預金 383,490円

 

⑥3月31日に税理士に次の報酬を支払った

借方 金額 貸方 金額
給料 30,000円 預り金 3,063円
普通預金 26,937円

 

⑦4月28日に従業員に次の給料を支払った

借方 金額 貸方 金額
給料 400,000円 預り金 16,510円
普通預金 383,490円

 

⑧4月30日に税理士に次の報酬を支払った

借方 金額 貸方 金額
給料 30,000円 預り金 3,063円
普通預金 26,937円

 

⑨5月28日に従業員に次の給料を支払った

借方 金額 貸方 金額
給料 500,000円 預り金 29,890円
普通預金 470,110円

 

⑩5月31日に税理士に次の報酬を支払った

借方 金額 貸方 金額
給料 30,000円 預り金 3,063円
普通預金 26,937円

 

⑪6月28日に従業員に次の給料を支払った

借方 金額 貸方 金額
給料 500,000円 預り金 29,890円
普通預金 470,110円

 

⑫6月30日に税理士に次の報酬を支払った

借方 金額 貸方 金額
給料 30,000円 預り金 3,063円
普通預金 26,937円

 

 

7月10日に支払う源泉所得税は、1月1日から6月30日までの期間に支払った給料や報酬などにかかるものです。(1月20日に支払う源泉所得税は、7月1日から12月31日までの期間に支払った給料や報酬などにかかるものです。)

この例題では、1月1日から6月30日までに支払った給料や報酬にかかる源泉所得税は合計で128,018円です。

この源泉所得税は納付するまで預り金として残っています。

そしてこの源泉所得税を7月10日までに納付します。

 

7月9日に源泉所得税を納付した。

借方 金額 貸方 金額
預り金 128,018円 普通預金 128,018円

 

この仕訳で預り金がなくなります。

 

納付書の書き方

次に納付書の書き方についてご紹介します。

上記の例題の場合、1月1日から6月30日までに支払った給料の合計は2,400,000円、それにかかる源泉所得税は109,640円です。

また報酬の合計は180,000円、それにかかる源泉所得税は18,378円です。

これらの数字を次のように納付書に書き込みます。

 

添付資料 2

 

源泉所得税の納付書は税務署から送られてきます。

「税務署名」「整理番号」「徴収義務者」の欄は、あらかじめ印字されています。

もし再発行などを依頼して上記の欄の印字がないときは、これらの項目も記載するようにしましょう。

(給料と報酬の人数は各1人に6回ずつ支払をしたと仮定しています)

 

まとめ

今日は源泉所得税について納期の特例を適用している場合についてご紹介しました。

半年に1回の納付ですので、忘れようにし、またまとめて納付することになるので資金繰りには気をつけましょう。