医療費控除の改正があり、平成29年分の確定申告から、医療費の領収書の提出は不要となりました。
代わりに医療費控除の明細書の添付が必要です。
ただし平成31年分の確定申告、つまり来年の確定申告までは従来どおりの提出方法も認められています。
とはいっても再来年の確定申告から、医療費控除の明細書の添付が必須となるので、早めに慣れておいたほうが良いでしょう。
今日は医療費控除の明細書の記入方法と国税庁の確定申告作成コーナーで行うエクセルデータの読み込み方法をご紹介します。
医療費控除の明細書の記入方法
医療費控除の明細書は次の様式です。
記入する項目は大きく次の3つです。
①医療費通知に関する事項
②医療費の明細
③控除額の計算
①と②は医療費の記入、③は計算です。
①と②はどちらも医療費を記入する項目ですが、①を記入すると、その分の②の記入は不要となります。
ただし①は『医療費のお知らせ』などの内容を記入するのですが、この『医療費のお知らせ』に書いてある内容が実際の支払った金額と微妙に違っていたり、またその年の最終月までの記載がされていなかったりします。
ですから全てを網羅しているとは限らないので、基本的に私は実際に支払った医療費の領収書を見て、②に記入しています。
②の記入方法ですが、まず領収書を次の順番に分けて集計してから記入すると良いです。
ステップ①
医療を受けた人ごとに分ける
↓
ステップ②
ステップ①をさらに病院・薬局ごとに分ける
↓
ステップ③
それぞれを集計する
また通院するためにかかった電車代などの交通費があれば「その他の医療費」として記載します。
最後に③ですが、①や②で集計した金額を順番に記載していき、最終的に医療費控除の金額を計算します。
具体例
それでは具体例でみてみましょう。
①給与収入 600万円
②医療費
日付 | 支払先 | 内容 | 金額 | |
本人 | 2月18日 | A病院 | 診察 | 50,000円 |
本人 | 5月10日 | B薬局 | 薬購入 | 3,000円 |
本人 | 11月29日 | A病院 | 診察 | 40,000円 |
妻 | 7月2日 | A病院 | 診察 | 30,000円 |
妻 | 7月2日 | JR | 交通費 | 3,000円 |
③保険金や社会保険による補填給付はなし
この例題では、医療費控除の明細書の記入は次のとおりになります。
医療費の記入に関しては、医療を受けた人ごとに分けて、さらに病院・薬局ごとに分けて集計するとこのようになります。
※氏名の欄を「本人」「妻」と記載していますが、本来は氏名を書きます
③の控除額の計算は、
支払った医療費(A)は125,000円、受け取った保険金等(B)はなしです。
よって差引金額(C)は125,000円となります。
所得金額の合計額(D)ですが、給料収入が6,000,000円なので、給与所得控除額は1,740,000円。
よって給与所得は6,000,000円ー※1,740,000円=4,260,000円となります。
※6,000,000円*0.2+540,000円=1,740,000円
この例題では所得は給与のみなので所得金額の合計額は4,260,000円となります。
この4,260,000円の5%(D)と100,000円を比較していずれか低い金額(F)を医療費の合計額から引いて、医療費控除の金額を計算します。
結果、医療費控除の金額(G)は、125,000円ー※100,000円=25,000円となります。
※4,260,000*5%=213,000円>100,000円
エクセルで取り込む方法
医療費控除はもちろん手書きで書いたものを提出しても良いのですが、国税庁のHPの確定申告作成コーナーを使えばエクセルで入力したものを読み込むことができます。
こちらの方が計算も自動的にしてくれるので楽です。データとしても残りますので、来年以降も同じフォームなら使えます。
手順としては、まず次の確定申告作成コーナーのページから医療費集計フォームをダウンロードします。
次にダウンロードしたエクセルファイルに医療費の内容を入力します。
このように入力したあと、最後にエクセルファイルをインポートします。
インポートする画面は、確定申告作成コーナーで、生年月日などの必要項目を入力して次々と進んでいくと、次の医療費控除の入力画面が出てきます。
医療費控除を選択すると次の画面になります。
さらに進むと次の画面になりますので、こちらから入力したエクセルファイルをインポートします。
これでインポート終了です。
読み込まれた内容が次のように反映されています。
もし訂正などがある場合は、訂正後のエクセルを再度インポートすれば反映されます。
まとめ
今日は医療費控除の明細書の記入方法とエクセルで作成したデータをインポートする方法をご紹介しました。
来年の確定申告までは従来の提出方法でも大丈夫ですが、再来年の確定申告からは医療費控除の明細書の添付が必須となります。
エクセルもうまく使って申告するようにしましょう。