会社の株を持っていると、配当金をもらえることがあります。
原則、配当金はもらったときに自動的に税金が引かれています。
よってもらったときに税金を納めていますので確定申告する必要はありません。
詳しくはこちらの記事もどうぞ
ただし、確定申告をすることもできます。
そもそも確定申告する必要がないのに、なぜわざわざ申告するのでしょう。
それは確定申告した方が有利になるケースがあるからです。
配当金の申告手続きで選択できる方法は次の3つです。
①申告しない
②総合課税方式で確定申告する
③申告分離課税方式で確定申告する。
実務的にはどの方法が一番有利になるか計算します。
今回はそれぞれの概要について見ていきましょう。
※この記事は「個人の方が上場している会社の株の配当金をもらった場合」の内容となります。
「上場していない会社の株の配当金をもらった場合」や「法人が配当金をもらった場合」などは
一部取り扱いが異なります。

PhotoMIX-Company / Pixabay
申告しない
確定申告をしないケースです。
配当金をもらったときに、配当金の金額に20.315%の税金が自動的に引かれて完了します。
総合課税方式で申告する
配当金を総合課税方式で申告する上でポイントとなるのは次の3つです。
①給料など他の所得がある場合は、合算して計算する。
②税金を計算する上で適用される税率は、計算した合計金額が大きいほど高くなる。(累進課税と言います)
(所得税は5.105% 〜 45.945%)
(住民税は一律10%)
③税金が控除される「配当控除」という特典がある。
(配当金の金額に「所得税は最大10%」「住民税は最大2.8%」の率をかけた金額が控除される)
計算のイメージとしては
「他の所得と合計した金額」 × 「税率」 − 「配当控除額」 = 「税金」
となります。
申告分離課税で申告する
配当金を申告分離課税方式で申告する上でポイントとなるのは次の3つです。
①給料などの他の収入とは分けて計算する。
②1年間トータルして株の売買で損をしている場合、その損失を株の配当金と通算することができる。
③税率は一律 所得税15.315% 住民税5%
株の売買で損をしている場合は通算することができるので計算のイメージとしては
(配当金の金額 − 株売買の損失)× 20.315% = 「税金」
となります。
有利不利の判定
上記3つの方法で計算し有利不利を判定します。
もし総合課税または申告分離課税で申告し、「計算した税金」が「自動的に引かれている税金」より少ない場合は、税金を多く払ってしまっていたので、その差額分の税金が返ってきます。
(または他の所得で発生した税金から引いてくれます)
まとめ
配当金の申告手続きで選択できる3つの方法を見てきました。
今回のポイントは、
① 配当金は「申告しない」「総合課税方式で申告する」「申告分離課税方式で申告する」の3つから選択できる。
② 申告した方が有利になるケースもある。
(ただし株の売買で損をしていない場合は申告課税方式が有利になることはない)
③ 申告を選択し「計算した税金」が「自動的に引かれている税金」より少ない場合はその分の税金が返ってくる。
(または他の所得より発生した税金から引いてくれる)
配当金は申告する方法によって有利不利があります。
ただしこの有利不利の基準は人によって違います。
確定申告は国民健康保険料や保育料の金額にも影響します。
具体的な計算方法はまた別の記事でご紹介したいと思います。