経営セーフティ共済の掛金は全額経費になりますので、節税効果が高い商品です。
今日は経営セーフティ共済を使った節税の方法や加入上の注意点をご紹介します。
経営セーフティ共済とは
経営セーフティ共済とは中小企業倒産防止共済制度といい、「独立行政法人 中小企業基盤整備機構(中小機構)」が運営しています。
業種や規模によりますが、基本的に会社や個人事業主が加入できます。
経営セーフティ共済の主なポイントは次の4つです。
①取引先が倒産したときに、無担保無保証人で掛金の10倍まで借入ができる。
②掛金は全額経費に算入できるので節税になる
③解約をした場合、掛金総額相当の解約返戻金を受け取れる
④掛金総額の95%まで一時金として借りれる
節税商品
それでは経営セーフティ共済を使った節税についてみていきます。
掛金は月額5,000円〜20万円までの範囲内で自由に選択できます。
掛金の単位は5,000円となります。
途中で増額や減額もできます。
掛金の積み立て総額は800万円が限度です。
つまり最大で年間240万円、トータルで800万円まで経費にすることができます。
また掛金は1年分まで前納することができます。
反対に解約して解約返戻金を受け取ったときは、解約返戻金の全額が収入となります。(一部解約はできません)
よって税金の対象となります。
上記のことを踏まえて、節税の効果が最も発揮する方法は
①毎年の最終利益の予想を見ながら、前納する金額を検討する。
(最大240万円までの経費算入できる)
②赤字になる事業年度に解約して、赤字額と解約返戻金を相殺し納付する税金を減らす。
上記①②のセットで、節税の効果が最も発揮されます。
具体的な数字で見てみると
例
・税率は30%
・トータルで上限800万まで掛金納付
・解約返戻金は掛金総額の満額返還
・解約返戻金を受け取った事業年度は赤字で赤字額と解約返戻金を相殺。税金負担なし
上記の例では、
トータルの節税効果は800万*30%=240万円となります。
解約返戻金を受け取ったときは税金負担はありません。
解約返戻金は掛金の満額が返ってきたので損得はありません。
よって240万円の節税効果分がお得になります。
デメリット
経営セーフティ共済は次のデメリットもあります。
①当面の資金は減る
後で返ってくるとはいえ、とりあえず掛金として納付した資金は出ていきます。
納付した分の節税効果はありますが、一時的に出て行く資金はそれより多いです。
例 掛金240万円 税率30%の場合
出ていく資金 240万円
節税した金額 72万円(240万*30%)
②なかなか解約できないといったケースもありえる
継続して黒字の場合、黒字のときに解約すると、解約返戻金分の税金負担が増えてしまいます。
また赤字になるまで解約を待つ場合、掛金総額の積立金は解約返戻金として受け取れないので、資金が凍結したことと同じです。積立金には利息もつきません。
そして一度解約しないと再加入もできません。
解約返戻金の注意点
解約返戻金には注意点があります。
解約返戻金は掛金を40ヶ月以上納付しているときは、積み立てた掛金総額の全額が返ってきます。つまり損はしません。
(任意解約の場合です。解約の種類により取り扱いが一部異なります。)
ただし納付した月数が40ヶ月を満たない場合、納付した月数に応じて解約返戻金の金額が減額されます。
特に12ヶ月未満で解約した場合は、一銭も返ってきません。
12ヶ月以上の納付で80%分返ってきます。
解約返戻金で損はしたくないので、40ヶ月以上は納付するように計画しましょう。
ただそうはいっても資金繰りが厳しくなるかもしれません。
その場合は一時金の借入も検討しましょう
掛金総額の95%まで借りれます。
(現在の借入利率は年0.9%です。)
まとめ
経営セーフティ共済はうまく活用すると節税効果の高い商品です。
ただ節税がうまくいくとは限りません。
解約返戻金は収入となるので、継続して黒字の場合、解約時期の判断が難しくなります。
退職金などをうまく活用して解約返戻金と相殺するといったことも検討したほうが良いでしょう
また掛金相当の資金はとりあえず出ていきます。資金繰りが苦しくなり、解約の時期を見誤ると損をします。
経営セーフティ共済は、節税効果だけでなく、資金繰りの面からもしっかりと計画して、加入を検討しましょう