税金の計算上、取り扱いが違う費用科目。給与、交際費、寄付金について

中小企業や個人事業の場合、事業に関係する費用が発生したとき、どの勘定科目を使うかはそれほど厳密には決められていません。他社との比較分析を考慮して一般的な科目を使うか、自社分析を重視して、自社独自の科目を使っても良いです。

ただし、どの科目を使うかはある程度自由ですが、税金の計算上、他の科目とは取り扱いが明確に違う費用科目があります。

今日はそれらの費用科目についてみていきます。

 

給与交際費寄付金

 

税金の計算上、取り扱いが違う費用科目

税金の計算上、取り扱いが違う費用科目は次の3つです。

①給与

②交際費

③寄付金

 

これらに該当する場合は、税務上は他の科目と取り扱いが違いますので注意が必要です。

それではそれぞれについてみていきましょう。

 

①給与

給与を支給した場合、もちろん税務上も費用にはなりますが、源泉所得税を徴収しなくてはなりません。この源泉所得税の徴収義務は事業者にありますので、もし他の科目で処理しておいて、実は給与だった場合は、源泉所得税の徴収漏れとなります。事業者に源泉所得税の納付が課せられます。

と言っても、給与を他の科目で処理することなんてない、て方もいらっしゃるかもしれませんが、例えば次のようなケースがあります。

ある特定の職員だけいつも食事に連れて行っていた場合で、その食事代を福利厚生費として経理処理しているケース。このケースの場合、その職員に対する給与とされることがあります。福利厚生費は原則全職員に対象としたものだからです。ある特定の職員のみに対するものとなると給与とされる場合があります。

 

②交際費

中小企業の場合、税務上費用として認められる交際費の金額は、年間800万円までという限度額が決められています。この限度額を超える部分については、会計上はそのまま費用となりますが、税務上は費用となりません。もし他の科目で処理しておいて、実は交際費だった場合、その交際費の金額が800万円を超える部分に該当するときは、その超える分の金額については費用になりません。

たとえば、取引先と食事に行って仕事の打ち合わせをしたので、会議費として経理処理していたが、会議の記録もなく、場所も居酒屋だったので、会議費ではなく交際費とされた場合。その飲食代を入れても交際費が800万円までに収まる場合は、税金の計算上は特に影響はないですが、800万円を超える部分が出てくるときは、その超える部分については税務上は費用となりません。納める税金がその分多くなります。

 

《注意》

個人事業には、交際費の限度額はありません。事業に関係する交際費の場合は、税務上も全額費用となります。

 

③寄付金

寄付金は費用となりますが、税務上は一定の限度額があります。国や地方公共団体への寄付金は全額費用になりますが、その他の寄付金については限度額があります。もし他の科目で処理しておいて、実は寄付金だった場合、一部費用にならない可能性があります。

たとえばお布施代を払って雑費で経理処理をしていた場合。それはお寺に対する寄付とされれば、寄付金となり全額費用になりません。計算した一定の限度額までの金額が費用となります。

 

《注意》

個人事業については、寄付金は原則費用になりません。ただし特定の寄付金については、寄附金控除という所得控除または税額控除があります。

 

まとめ

今日は税金の計算上、他の科目とは取り扱いが違う費用科目についてみてきました。

科目はある程度自由に使っても良いですが、上記の費用科目に該当した場合は、税金の計算に影響してきます。

上記の費用科目に該当するものはないか支払いの内容をしっかり確認するようにしましょう。

 

※この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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