年金受給者で一定の要件を満たす人は、確定申告をしなくてもよいという確定申告不要制度があります。
ただし確定申告不要制度の要件を満たしても、申告をしたほうが源泉所得税の還付金が戻ってくるというケースもあります。
また住民税の申告は必要だったりします。
今日はこの年金受給者の確定申告の要否について、フローチャートにしてまとめてみたのでご紹介します。
公的年金等とは
まず確定申告不要制度の対象となる年金収入とは、公的年金等に該当するものです。
この公的年金等とは以下の収入をいいます。(国税庁HPより抜粋)
- 国民年金法、厚生年金保険法、国家公務員共済組合法などの法律の規定に基づく年金
- 恩給(一時恩給を除きます。)や過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金
- 確定給付企業年金契約に基づいて支給を受ける年金 など
障害年金や遺族年金は含まれていません。障害年金と遺族年金は非課税です。
源泉徴収税額について
公的年金等は支給のときに源泉所得税が天引きされます。
この天引きされる源泉所得税の金額は、日本年金機構に提出する扶養控除等申告書の内容により決まります。
また提出をしない場合でも、一定の率を乗じて源泉所得税が計算されます。
提出をしない場合は各種控除を受けれないなど、提出した場合に比べて天引きされる源泉所得税の金額は多くなります。
《参考》
扶養控除等申告書は毎年9〜10月頃に日本年金機構から送られてきます。
ただし次のケースに該当する場合は送られてきません。
- 65歳未満の場合、年金収入108万円以下
- 65歳以上の場合、年金収入158万円以下
これは、年金収入から公的年金等控除額を引くと38万円となり、そこから基礎控除額38万円を引くと課税所得が0となります。よって源泉徴収の対象外となるからです。
確定申告不要制度
確定申告不要制度とは、
「公的年金等の収入の合計額が400万円以下かつその他の所得が20万円以下」
の場合は、確定申告をしなくてもよいという制度です。
ただしこれは所得税の話です。
その他の所得がある場合は、原則として住民税の申告は必要となります。
フローチャート
年金受給者の確定申告の要否を以下のフローチャートにしてみました。
年金フローチャート
主なポイントは以下の3点です。
- 所得税の確定申告をすると、同じ内容が市役所にも提出されるので、住民税の確定申告は別途必要なし。
- 確定申告不要制度により、確定申告が不要でも、源泉所得税が天引きされている場合は、還付金が発生する可能性があり。発生するなら確定申告をしたほうが有利となる。
- 所得税は確定申告が不要でも、その他の所得がある場合や、医療費控除などの公的年金等の源泉徴収票に記載されている所得控除以外の控除があるときは、住民税の申告が必要となる場合がある。
まとめ
今日は年金受給者の確定申告の要否をフローチャートにしてまとめてみました。
確定申告が必要かどうかを迷ったときは参考にしていただければと思います。