銀行からお金を借りる場合、そのお金の使い道が重要です。
資金使途といいます。
貸す側の銀行は、お客様から預かったお金を貸すのですから、そのお金がどのように使われるかは最も重要です。
この資金使途ですが、大きく2つあります。
それは設備資金と運転資金です。
設備資金は、新規事業や既存事業の拡大、または建物の建て替えなど、設備を購入するために借りるお金です。
一方運転資金は、事業をしていく上で借りるお金ですが、基本的には商売上で発生した立替金の意味合いが強いものです。
今日はこの運転資金について基本的な考え方や計算式をご紹介します。
運転資金とは
運転資金とは、基本的には商売上で発生した立替金のことを指します。
たとえば、物を仕入れて売る商売の場合、売ったときにすぐお金が入ってこないケースもあります。
実際に入金されるのは翌月のケースといった場合です。
売ってから実際に入金される翌月までの期間は、いわばその金額を立て替えているようなものです。
この期間はその立て替えたお金が入ってこないので、その金額を銀行から借ります。
これを運転資金といいます。
運転資金の計算式
はじめに運転資金を求める計算式をみてみます。
運転資金は次の計算式で求めます。
運転資金=売掛金(受取手形)+棚卸資産ー買掛金(支払手形)
(受取手形や支払手形が発生する場合は、それぞれ計算式に含めます。)
それではどうしてこのような計算式になるのかを事例を見ながらご紹介します。
事例
運転資金はどのように計算していくのか、取引のステップごとにみていきます。
物を仕入れて売るという卸売業を前提としています。
ステップ①
300万円の商品を仕入れて、売れるまで在庫として保管。支払いは即時払い。
300万円の在庫が発生しました。
在庫も売れると、お金として戻ってくるので、売れるまでの立替金といえます。
よってこの在庫分300万円は運転資金となります。
仕訳は、
※商品300万円/現金預金300万円
となります。
※実際は仕入勘定を使用しますが、この事例ではわかりやすいように商品という資産勘定を使っています。
ステップ②
300万円で仕入れた商品を500万円で販売。 入金は翌月。
500万円の売上が発生します。
入金は翌月なので、この500万円は売掛金となります。
この売掛金は立て替えているのと同じことなので、運転資金となります。
仕訳は、
売掛金500万円/売上500万円
となります。
また300万円の在庫が売れたので、その分の運転資金は減ります。
仕訳は、
売上原価300万円/商品300万円
となります。
ステップ③
400万円の商品を仕入れて売れるまで在庫として保管。支払いは翌月払い。
在庫が400万円発生しました。
在庫なので400万円の運転資金となります。
またこの400万円の支払いは翌月なので買掛金が400万円発生します。
この買掛金は売掛金と反対で支払いを待ってもらっていることになります。つまり支払うまでの期間は、400万円を立て替えてもらってるようなものです。
よってこの買掛金400万円は運転資金からマイナスします。
仕訳は、
商品400万円/買掛金400万円
となります。
以上、ステップを①から③までとすると、運転資金は、
売掛金500万円+※棚卸資産(商品)400万円ー買掛金400万円=500万円となります。
※300万円ー300万円+400万円=400万円
基本的にこのサイクルで回るとすると、常時必要な運転資金は500万円となります。
まとめ
今日は銀行の借入金のうち、運転資金の基本的な考え方や計算式についてご紹介しました。
運転資金は売掛金や在庫、買掛金の入出金のタイミングの差異です。
その差異はいわば立替金です。
立替金なのでその分のお金が不足するのは当たり前です。
また貸す側の銀行も、いずれ戻ってくるお金ですので、運転資金として貸しやすいです。
よほど資金が潤沢でない限り、この運転資金については積極的に融資を受けるべきだと思います。