上場株式を持っていると配当金をもらったり、その株を売って利益を得たりまたは損したりすることがあります。
この上場株式の配当金や譲渡損益については、確定申告が不要だったり、あえて申告することを選択できたりします。
また一般口座や特定口座、特定口座でも源泉徴収の有り無しや、配当金を特定口座で受け入れるといったケースもあり、いろいろなパターンが混在し、ややこしいです。
またそのパターンによって申告をするかしないかの選択肢が変わってきます。
今日はこのややこしい上場株式の確定申告の選択方法についてまとめましたのでご紹介します。
※NISAについては非課税であるため本記事では考慮していません。
上場株式の譲渡所得の口座の種類
口座の種類は以下の4つあります。
①一般口座
②特定口座(源泉徴収なし)
③特定口座(源泉徴収あり)
④特定口座(源泉徴収あり)+ 配当受け入れ
口座のイメージ図は次のとおりです。
①一般口座
譲渡損益に対して源泉徴収されていません。
よって確定申告が必要となります。
また1年間の取引を自分で合計して計算しなくてはなりません。
②特定口座(源泉徴収なし)
①と同様に譲渡損益に対して源泉徴収されていないので、確定申告が必要です。
①と違うのは、1年間の取引の合計を計算してくれています。
③特定口座(源泉徴収あり)
申告不要です。
それは1年間の取引を計算して、損益に対しての源泉徴収を完了させているからです。
ただし申告しても良いです。
④特定口座(源泉徴収あり)+ 配当受け入れ
③と同じ理由で申告不要です。
③と違うのは、配当金を受け入れていることです。
つまり口座内で譲渡で発生した損益と配当金を損益通算しています。
まとめると、
①と②は利益が発生すると、原則的に申告が必要です。
※確定申告不要制度の20万円以下に該当する場合は、申告はしなくても良いです。ただし住民税の申告は必要となります。
③と④は申告不要です。ただし申告をしても良いです。
また口座内で配当金を受け入れて損益通算することを選択できるのは、特定口座(源泉徴収あり)のみです。
一般口座と特定口座(源泉徴収なし)はできません。
《注意》
口座内で配当金と損益通算するには、特定口座(源泉徴収あり)で次の2つを選択する必要があります。
- 特定口座内で配当金の受け入れることを選択する
- 配当金の受け取り方法を株式数比例配分方式(口座で受け取る方法)に設定する
上場株式の配当金の申告
上場株式の配当金については、あらかじめ源泉徴収されているので、申告は不要です。
口座の種類は関係ありません。
ただし申告することもできます。
申告方法は総合課税と申告分離課税を選択することができます。
選択の単位は、受け取った配当金ごとに選択することができます。
ただし、配当金を上記④の特定口座の源泉ありで受け入れている場合は、特定口座ごとの申告になります。
また総合課税と申告分離課税を併用することはできません。
つまりA会社の配当金は総合課税として、B会社の配当金は申告分離課税を選択するといったことはできません。
申告する配当金すべてにおいて総合課税か申告分離課税のどちらかを選択することになります。
上場株式の譲渡所得の申告と選択単位
上場株式の譲渡所得は、口座単位で申告の選択ができます。
(そもそも口座内の損益がマイナスの場合は、申告しなくても良いです。ただしマイナスを申告すると、他の口座や配当金と損益通算できたり、翌年以降3年間マイナスを繰り越すことができます)
①の一般口座は申告一択。
②の特定口座(源泉徴収なし)も申告一択。
③の特定口座(源泉あり)は口座単位で申告するか否かの選択ができます。
④の特定口座(源泉あり)+配当受け入れは、譲渡と配当金ごとに申告するか否かを選択できます。
譲渡は申告せず、配当金は申告するといったことができます。
ただし、1つ注意点があります。
上場株式の譲渡所得がマイナスの場合で申告を選択する場合、配当金も合わせて申告しなければなりません。
理由は、すでに口座内で譲渡で出たマイナスを配当金と損益通算しているからです。
そのためセットで考えなくてはなりません。
よって申告を選択するときは、両方合わせての申告となります。
まとめ
今日は上場株式の譲渡所得と配当所得の確定申告の選択方法についてみてきました。
口座の種類によって選択の有無が変わってきます。
最も有利になるように、選択方法について覚えておきましょう。