売上債権、棚卸資産、仕入債務の回転期間を計算すると、商品を仕入れてから販売するまでの期間や、売上代金の回収までの期間などを把握することができます。
考え方を整理できると計算式も難しくありません。
今日はこの回転期間の計算方法についてご紹介します。
売上債権の回転期間
売上債権の回転期間とは、売り上げてから代金が回収されるまでの平均的な期間のことをいいます。
売掛金などの売上債権の回転期間は、売上高に対する売上債権の割合を算出すると計算できます。
計算式は、
売上債権/売上高
となります。
分子の売上債権は基本的に期末の残高を使います。
ただ売上増などにより期末の直前で一時的に売上債権が増えたときなどは、月次の平均残高を使うのも良いです。
分母の売上高は1年間の合計額を使います。
具体的な数字で見てみます。
期末の売上債権 400万円
1年間の売上高 2,500万円
計算すると、
400万円/2,500万円= 0.16
となります。
ただこのままだと回転期間が0.16となりよくわかりません。
そこでこの0.16に確認したい単位を乗じます。
日数で確認するときは365日、月数で確認するときは12ヶ月を乗じます。
日数の場合、
0.16*365日=58.4日
となります
月数の場合
0.16*12ヶ月=1.92ヶ月
となります。
この数字は少ないほうが短い期間で資金を回収できていることになります。
よって資金繰りの観点からいいますと、少ないほうが良いということになります。
棚卸資産の回転期間
棚卸資産の回転期間とは、仕入れてから販売されるまでの平均的な期間のことをいいます。在庫として保管されている期間ともいえます。
計算は売上原価に対する棚卸資産の割合を算出すると計算できます。
計算式はこちらです。
棚卸資産/売上原価
分子の棚卸資産は基本的に期末の残高を使います。
ただし、期末に一時的に在庫が増えた場合などは、月次の平均残高を使うのも良いです。
分母の売上原価は1年間の合計額を使います。
一方、売上原価ではなく売上高で計算する方法もあります。
私は棚卸資産は売上原価のほうがしっくりくるので、売上原価で計算することが多いです。
それでは具体的な数字で見てみます。
期末の棚卸資産 300万円
売上原価 2,000万円
計算すると、
300万円/2,000万円= 0.15
となります。
このままだと回転期間が0.15となりますので、売上債権と同様に、日数又は月数を乗じます。
日数は、
0.15*365日=54.75日
となります。
月数は、
0.15*12ヶ月=1.8ヶ月
となります。
この数字は少ないほうが仕入れから販売するまでにかかった期間が短いことになります。
よって少ないほうが在庫を長く抱えずに早期に販売できていることになります。
仕入債務の回転期間
仕入債務の回転期間とは、買掛金などの仕入債務の弁済に要した平均的な期間のことをいいます。
仕入債務の回転期間は、売上原価に対する仕入債務の割合を算出して計算します。
計算式はこちらになります。
買掛金/売上原価
分子の買掛金は基本的に期末の残高を使います。
ただ仕入増などにより、一時的に期末に仕入債務が増えたときは、月次の平均残高を使うのも良いです。
分母の売上原価は1年間の合計額を使います。
一方、売上原価ではなく売上高で計算する方法もあります。
私は仕入債務は売上原価のほうがしっくりくるので、売上原価で計算することが多いです。
それでは具体的な数字で見てみます。
期末の仕入債務 400万円
売上原価 2,000万円
計算すると、
400万円/2,000万円= 0.2
となります。
このままだと回転期間が0.2となりますので、売上債権と同様に、日数又は月数を乗じます。
日数は、
0.2*365日=73日
となります。
月数は、
0.2*12ヶ月=2.4ヶ月
となります。
この数字は弁済に要した期間です。数字が多いほど、期間が長いことになります。
資金繰りの観点からいいますと、弁済に要した期間は短い期間より長い期間の方が有利です。
資金の回収期間
最後に上記の数字を3つ合わせると、一連の取引における資金の回収期間を見ることができます。
計算式は次のとおりです。
売上債権回転期間+棚卸資産回転期間ー仕入債務回転期間
上記の数字を日数であてはめると、
58.4日+54.75日ー73日=40.15日
となります。
この数字は少ないほうが資金回収の期間は短く、資金が効率良く回っていることになります。
まとめ
今日は、売上債権、棚卸資産、仕入債務の回転期間の計算方法について見てきました。
これらの計算は、平均的な数字にはなりますが、比較的簡単にできます。
売上債権と棚卸資産の回転期間は短く、仕入債務の回転期間は長いと資金回収面では効率的です。
自社の在庫管理や資金管理に役立てましょう。