経理処理をする上で、必ずといって良いほど出てくる減価償却。
この減価償却について、今日は基本的な考え方を中心にご紹介します。
減価償却とは?
基本的に物を買うとそれは資産となります。
ただしその資産は、時の経過とともに消費していきます。
つまりいつかは費用となります。
税務会計の処理上、買ったときに全額費用になるものもありますし、時の経過とともに費用となっていくものもあります。
感覚的には、その資産を使用したり時間が経つことで、その資産の価値が減った分だけをその減った時に費用にするのがピッタリくるのですが、税務会計上は費用化について決められたルールがあります。
この決められたルールによって、時の経過とともに、費用化していく処理を減価償却といいます。
減価償却のルール
まず物を買ったときに、全額費用とするのか、それとも減価償却していくのかの基準は、以下の2点のどちらかに該当するかどうかです。
- 購入金額が10万円未満
- 使用できる期間が1年未満
このどちらかに該当すると、物を買って使ったときに全額費用にすることができます。
(青色申告者の少額減価償却資産の特例を適用を受けている場合は、上記の購入金額の10万円未満が30万円未満となります)
ただし「できる規定」なので、資産に計上して、毎年(毎期)減価償却をしても構いません。
全額費用にしたほうが早期に税金負担が減りますし、実務処理上の煩雑さを考えると、ほとんどの場合はその時に全額費用にすることが多いです。
上記の2点のどちらにも該当しない場合は、資産計上して減価償却をしていきます。
減価償却の方法
減価償却の方法ですが、まず購入した資産ごとに耐用年数というものが決まっています。
普通自動車は5年、パソコンは4年といった感じで耐用年数が決められています。
この耐用年数の期間中、購入金額を減価償却していくことになります。
減価償却の方法ですが、大きく以下の2つの方法があります。
- 定額法
- 定率法
定額法は同じ金額を毎年(毎期)均等に費用にしています。
定率法は最初に大きく費用化して、徐々に費用になる金額が減っていきます。
それぞれ耐用年数に応じた償却率というものを使って計算します。
(例えば耐用年数が5年の場合、償却率は、定額法で0.2、定率法で0.5です)
またどちらを選択するかまたはできるかは、購入した資産の種類や購入した時期などによって異なります。
具体例
それでは定額法と定率法の違いを具体例で少しみていきましょう。
例題
- 事務機器購入
- 購入金額100万円
- 耐用年数5年
- 期首に購入
①定額法の場合
定額法は毎年(毎期)、購入金額に償却率をかけて計算します。
よって費用となる減価償却費は、毎年(毎期)同じです。
耐用年数は5年なので、償却率は0.2です。
よって減価償却費は、
100万円*0.2=20万円
となります。
毎年20万円を減価償却していくと、5年間で100万円となります。
よって5年間で全額費用化されます。
(厳密には、その資産が無くなっていない場合は、備忘価格として1円残します)
下記は減価償却費の推移を表した図です。
②定率法の場合
定率法は減価償却後の金額に償却率をかけて計算します。
よって費用となる減価償却費は、毎年(毎期)違いますし、最初のほうが大きく、徐々に減っていきます。
耐用年数は5年なので、償却率は0.5です。
定率法は減価償却後の金額に償却率をかけて計算しますが、1年目は初めての減価償却なので、購入金額に償却率をかけます。
よって1年目の減価償却費は、
100万円*0.5=50万円
となります。
2年目の減価償却費は、減価償却後の金額に償却率をかけて計算するので、
※50万円*0.5=25万円
となります。
※(100万円ー50万円=50万円)
3年目の減価償却費も、減価償却後の金額に償却率をかけて計算するので、
※25万円*0.5=12万5千円
となります。
※(100万円ー50万円ー25万円=25万円)
このように定率法は、減価償却費が徐々に減っていきます。
また、この減価償却後の金額に償却率をかける方法だと全額費用化するのに、いつまで経っても終わりません。
そこで、保証率を使って計算した金額に達したら、償却率を改定償却率に切り替えて減価償却をしていきます。(少し専門的な話になるので、詳細については本記事では割愛させていただきます。)
途中でこの方法に切り替えることで、5年間で全額費用化されます。
(定額法と同じく、その資産が無くなっていない場合は、備忘価格として1円残します。)
下記は減価償却費の推移を表した図です。
まとめ
今日は減価償却の基本的な考え方についてご紹介しました。
資産に計上すると耐用年数の期間中、毎年、減価償却をしていきます。
購入時に全額費用にしても、資産計上して減価償却しても、トータルでは費用になる金額は同じですが、費用になるタイミングが違います。
まずは減価償却の基本的な考え方について押さえておきましょう。
また本記事では、定額法と定率法をご紹介しましたが、購入時期によっては、旧定額法や旧定率法といった償却方法を使うことになります。
また期中に購入した場合は、減価償却の計算は月割となります。
このあたりの詳細についてはまた別の機会にご紹介します。