売掛金と買掛金の仕訳の基本

売掛金と買掛金とは、商売上の未収金と未払金のことです。

売上を計上して、未入金のものは売掛金という科目を使います。

仕入を計上して、未払いのものは買掛金という科目を使います。

それではどのように仕訳を作成していくのか簡単な設例でそれぞれ見ていきます。

 

発生主義

まず、売掛金と買掛金の仕訳をみる前に会計処理の大前提をご紹介します。

会計処理をむずかしくしている要因の1つに発生主義という考え方があります。

(売上は厳密には発生主義ではなく実現主義ですが、類似しているのでここでは発生主義とさせていただきます)

すべての取引を現金の入出金があったときに仕訳を作成するいういわゆる現金主義であれば、それほど会計処理はむずかしくありません。

現金の入出金とその内容を記録しておけば良いからです。家計簿などは現金主義で記録していることがほとんどだと思います。

ただ実務上の会計処理は基本的に現金主義ではなく、発生主義で計上していきます。

発生した時点で取引を記録するというやり方です。

たとえば、売上を計上する場合で、商品を売り上げてその入金が翌月となったとき。

翌月の入金のタイミングで売上を計上するのではなく、商品を売ったタイミングで売上を計上します。

よって現金が動かないときも仕訳が作成されるのです。

これが発生主義の特徴です。

それでは、この考え方を基に売掛金と買掛金が出てくる簡単な設例を見ていきましょう。

 

売掛金

例 2020年8月に50万円の商品を売った。この50万円の入金は9月末である。

まず、8月に50万円の商品を売ったので、8月に売上を計上します。

この売上にかかる代金はこの時点では未収です。よって相手勘定は売掛金を使います。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 500,000円 売上高 500,000円

 

次にこの未収である売掛金50万円は9月末に入金されるので、入金された時点で売掛金を貸方勘定に持ってきて減らします。

借方 金額 貸方 金額
普通預金 500,000円 売掛金 500,000円

 

これら一連の仕訳によって、正しく8月に売上が計上されて、入金があったときに未収金である売掛金がなくなります。

 

買掛金

例 2020年7月に30万円の商品を仕入れた。この30万円の支払いは8月末である。

まず、7月に30万円の商品を仕入れたので、7月に仕入を計上します。

この仕入にかかる代金はこの時点では未払いです。よって相手勘定は買掛金を使います。

借方 金額 貸方 金額
仕入高 300,000円 買掛金 300,000円

 

次にこの買掛金30万円は8月末に支払いますので、支払った時点で買掛金を借方勘定に持ってきて減らします。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 300,000円 普通預金 300,000円

 

これら一連の仕訳で、正しく7月に仕入が計上されて、支払をしたときに未払金である買掛金がなくなります。

 

ちなみに発生した時点と入出金の時点が同月の場合(例えば商品を売り上げたのが8月5日、その入金が8月末の場合)は、会計処理上は入出金の時点で売上を計上しても大丈夫です。

これは通常、月単位で会計資料を作ることが多いからです。

よって発生した時点とその入出金の時点が同月のとき(この例では8月)は、どちらにしても8月に売上が計上されるので、月単位の資料を作成する場合は問題ありません。

 

まとめ

今日は売掛金と買掛金について見てきました。

基本的に売上や仕入を計上するのは発生した時点です。現金が入出金された時点ではありません。

そのときの売上の相手勘定は売掛金、仕入の相手勘定は買掛金となります。