法人(会社)が利益(税金上では所得)を出した場合は、その会社に法人税という税金がかかります。
法人税の金額は基本的に「所得*税率」で計算します。
それではこの税率は一体いくらなのでしょう?
今日は地方税も含めたトータルの税率についてご紹介します。
税金の種類と税率
会社が利益を出した時にかかる税金の種類とその税率について確認します。
税率は次のような場合を前提としています。
- 当事業年度開始日は平成30年4月1日
- 中小法人
- 本店所在地は大阪市
- 地方税は標準税率適用の法人
(法人税のトータルでの税率がどのように計算されるのかを確認する内容なので、税率が違っても考え方は同じです。)
税金の種類 | 課税団体 | 税率(所得等の区分) |
①法人税 | 国 |
800万円以下の部分 15% 800万円超の部分 23.4% |
②法人地方税 | 国 | 4.4% |
③法人事業税 | 大阪府 |
400万円以下の部分 3.4% 400万円超800万円以下の部分 5.1% 800万円超の部分 6.7% |
④地方法人特別税 | 大阪府 | 43.2% |
⑤法人府民税 | 大阪府 | 3.2% |
⑥法人市民税 | 大阪市 | 9.7% |
仮に所得が年300万円とした場合、単純に全ての税率を合計すると、
①15%+②4.4%+③3.4%+④43.2%+⑤3.2%+⑥9.7%
=78.9%となります。
さすがにこれは高すぎます。
法人税を計算するときのトータルの税率はこれではありません。
上記の税金のうち②法人地方税⑤法人府民税⑥法人市民税については、「所得」にではなくて「法人税額」に税率をかけて計算します。④地方法人特別税については、「所得」にではなく「法人事業税額」に税率をかけて計算します。
よって②④⑤⑥の税率をそれぞれ次のように修正する必要があります。
②15% * 4.4%=0.66%
④3.4% * 43.2%=1.4688%
⑤15% * 3.2%=0.48%
⑥15% * 9.7%=1.455%
この修正後の税率でもう一度各種の税率を合計してみると
①15%+②0.66%+③3.4%+④1.4688%+⑤0.48%+⑥1.455%
=22.4638%となります。
この税率22.4638%がこのケースの法人税のトータルの税率となります。
計算
少しややこしいので具体的な数字で計算して、上記の税率が合っているか確認してみましょう。
上記のケースの場合、法人税のトータルの税率は22.4638%となりました。
よって所得が3,000,000円の場合、税金の合計額は、
所得3,000,000円*22.4638%=673,914円となるはずです。
それでは各種の税金を計算してみます。
所得が3,000,000円の場合
①法人税
3,000,000円*15%=450,000円
②法人地方税
450,000円*4.4%=19,800円
③法人事業税
3,000,000円*3.4%=102,000円
④地方法人特別税
102,000円*43.2%=44,064円
⑤法人府民税
450,000円*3.2%=14,400円
⑥法人市民税
450,000円*9.7%=43,650円
①から⑥の税金を合計すると673,914円となりました。
修正後のトータル税率で計算した税金と一致します。
《参考1》
厳密には、税率をかけて算出した金額に百円未満の金額がある場合は切り捨てます。
よって、上記の税金のうち④は44,000円、⑥は43,600円となります。
《参考2》
上記の修正後の税率で合計したトータルの税率は、表面税率となります。
この表面税率のほかに実効税率というものがあります。
表面税率と実効税率の違いは事業税の損金算入の部分です。損金算入分、実効税率のほうが低くなると覚えておくぐらいで良いと思います。
実効税率の計算式は次の通りです。
法人税の実効税率= 法人税率*(1+法人府民税率+法人市民税率+地方法人税率)+(事業税率+標準税率*地方法人特別税率)/1+(事業税率+標準税率*地方法人特別税率)
上記の税率で実効税率を計算すると次の税率となります。
15%*(1+3.2%+9.7%+4.4%)+(3.4%+3.4%*43.2%)/1+(3.4%+3.4%*43.2%)
=21.42%
まとめ
今日は法人税の税率についてみてきました。
法人税の税率はコロコロ変わりますが、現行の税率だと本記事のケースの場合、表面税率は22.4638%となりました。
最低の所得基準で計算したので、表面税率はかなり低めとなっています。
上記の表を見ていただいてもわかるように、法人税は800万円以下、法人事業税は400万円または800万円以下の部分までは低い税率となっています。
法人府民税などの他の法人税の計算は、法人税と法人税事業税の金額を基準とします。
法人税と法人事業税の金額が低いと連動して他の法人税の金額も低くなります。
低い税率が適用される所得金額400万円と800万円という数字は覚えておくと良いと思います。