個人事業を法人成りするメリットとして、消費税の免税期間があります。
この消費税の免税についてはけっこう有名で、よく「2年間個人事業をしてから法人にすると、4年間は消費税を払わなくていいよ」と言われています。
これは一体どういったことなのでしょうか?
今日は法人成りのメリットとして、消費税の免税について基本的なことを中心にご紹介していきます。
消費税の免税事業者とは
事業をしていると取引ごとに消費税を預かったり、支払ったりします。
事業者はこの消費税を単に預かっているだけなので、最終的に消費者の代わりに国に納めます。
たとえば、売上が1,080円で内消費税が80円
仕入が864円で内消費税が64円の場合、
預かった消費税80円−支払った消費税64円=納める消費税16円となります。
ただし消費税の免税事業者の場合は、この消費税を納める必要はありません。
よってこのケースの場合、消費税分の16円が利益となります。
免税事業者は納める消費税分、得することになります。
《注意》
反対に払った消費税のほうが多い場合は、消費税が返ってくるので、免税事業者は損することになります。
多額の設備投資をした場合や、経費が多く赤字になる場合は、返ってくる可能性があります。
その場合は、事前に課税事業者を選択することも検討しましょう。
課税事業者は事前に届出書を出すことで選択できます。
ただし2年間の強制適用となります。2年間のトータルで検討するようにしましょう
免税事業者になるには
消費税の免税事業者になる基準は、二つあります。
一つ目は、2年前の課税売上高が1,000万円以下かどうかです。
1,000万円以下だと免税事業者、超えると課税事業者になります。
この基準のポイントは2年前です。
今の課税期間ではありません。
よってたとえば今の課税期間の課税売上高が1500万円で、2年前の課税期間の課税売上高が800万円の場合は、今の課税期間は免税事業者となります。
二つ目は、前年の課税期間の前半6ヶ月の課税売上高が1,000万円以下もしくは支給した給料の合計が1,000万円以下かどうかです。
どちらかが1,000円以下なら免税事業者となります。
一つ目の基準と比べてハードルは低いです。
この2年前と1年前の二つの基準を両方満たしたとき、免税事業者となります。
《参考》
課税売上高とは、売上の金額のうち消費税の関係するものをいいます。
また消費税の売上の概念は、通常の売上より広いです。
事業の売上だけでなく、事業で使っていた固定資産を売ったときの売却代金なども含みます。
法人成りのメリット
それでは法人成りのメリットをご紹介します。
免税事業者に該当するかどうかは2年前と1年前の数字が基準となります。
法人を新しく設立した場合、あたりまえですが2年前と1年前の数字はありません。
よって0と同じことなので免税事業者となります。
また設立2年目も前年の数字しかないので、前年の基準だけで判断します。
前年の基準のハードルは低いので、法人設立後2年間は免税事業者になる可能性が高いです。
よって個人事業の課税売上高が1,000万円を超えてくると、その2年後には課税事業者になるので、課税事業者になるタイミングで法人成りをすると、また2年間は免税事業者を継続できるわけです。
《注意》
設立した法人の資本金が1,000万円以上の場合は、設立時から消費税の課税事業者になります。
その他相続や合併などにより事業を引き継いだ場合は取り扱いが違うので注意が必要です。
冒頭で書いた「2年間個人事業をしてから法人にすると4年間は消費税が免税になる」というパターンは、個人事業開始の年から課税売上高が1,000万円を超え、2年目も1,000万円を超える場合に該当します。
この場合、1年目と2年目は新設した法人と同じで、免税事業者になる可能性が高く、一方3年目と4年目は課税事業者になりますので、3年目から個人事業を法人成りすると、3年目と4年目も免税事業者になることができます。
また法人の3年目つまりトータル5年目は、法人の1年目と2年目の数字を基準にして免税事業者になるかどうかを判断します。
まとめ
今日は法人成りのメリットのうち消費税の免税についてみてきました。
課税事業者になるタイミングで個人事業を法人成りすると、さらに2年間、免税事業者を継続できることが多いです。
課税売上高が継続的に1,000万円を超えてきそうなときは、法人成りを検討するタイミングでもあります。