社会保険料の仕訳の基本!当月徴収と翌月徴収について

会社で加入している健康保険や厚生年金保険の社会保険料は、従業員負担分と会社負担分を合わせて、会社が支払います。

この経理処理は、そんなに難しくはないのですが、当月徴収と翌月徴収の違いなどで、間違って処理をしているケースがあります。

 

そこで今日は社会保険料の仕訳のうち、当月徴収と翌月徴収について解説していきます。

 

※本記事では話をわかりやすくするため、会社が負担する児童手当拠出金については考慮していません。また給料から徴収するのは社会保険料のみとしています。

 

社会保険料 仕訳

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社会保険料の仕訳

社会保険料は、会社と従業員が半分ずつ負担します。

従業員の負担分は給料から徴収するのが一般的です。

会社は、給料から徴収した金額と会社負担分を合わせて、社会保険料を支払います。

これらの一般的な仕訳の流れは次のようになります。

 

①給料支給時

借方 金額 貸方 金額
給料 100,000円 預り金 10,000円
    普通預金 90,000円

 

 

 

②社会保険料納付時

借方 金額 貸方 金額
法定福利費 10,000円 普通預金 20,000円
預り金 10,000円    

 

 

これだけを見ると、そんなに難しくはありません。

給料から徴収したときは、その金額を預り金として計上し、社会保険料を払ったときは、その預り金を減らして、差額を法定福利費とするだけです。

 

 

当月徴収と翌月徴収

このように社会保険料の仕訳はそんなに難しくないのですが、たまにミスも見受けられます。

よくあるのが当月徴収と翌月徴収の勘違いによるミスです。

 

まず、当月徴収と翌月徴収についてみていきます。

 

社会保険料の支払いの期限は翌月末日です。(末日が土日祝に該当する場合は、それ以降の平日)

例えば3月分の社会保険料の支払い期限は、4月末日です。

これは変わりません。

当月徴収と翌月徴収というのは、あくまでも給料から徴収するタイミングの違いです。

「3月分の社会保険料」を「3月の給料支給時」に徴収する場合は当月徴収となり、「3月分の社会保険料」を「4月の給料支給時」に徴収する場合は、翌月徴収となります。

 

この徴収方法ですが、一般的には、翌月徴収を採用している会社が多いです。

主な理由としては、その会社の給料が翌月払いの場合、入社時の給料は当月払いがないことになります。

また締め日などの関係で、初任給は月割り計算となり、満額ではないことがあります。よって、初任給から社会保険料を徴収するより、次の給料から徴収するほうが負担がありません。

 

自社が当月徴収と翌月徴収のどちらを採用しているかを把握しておくことは大事です。

間違った認識をしていると、経理処理をする上で、ズレが発生してしまいます。

 

 

例題

それでは以下の例題で見てみましょう。

  • 25日締、当月末支払
  • 3月と4月の給料 各100,000円
  • 2月分の社会保険料 16,000円
  • 3月分の社会保険料 18,000円
  • 4月分の社会保険料 18,000円

 

 

①当月徴収

3月分の社会保険料は、3月の給料支給時に徴収します。(3月末)

借方 金額 貸方 金額
給料 100,000円 預り金 9,000円
    普通預金 91,000円

 

 

 

そして、4月末日に3月分の社会保険料18,000円を支払います。(4月末)

借方 金額 貸方 金額
法定福利費 9,000円 普通預金 18,000円
預り金 9,000円    

 

 

 

また、4月の給料支給時に、4月分の社会保険料を徴収します。(4月末)

借方 金額 貸方 金額
給料 100,000円 預り金 9,000円
    普通預金 91,000円

 

 

よって4月末の時点では、預り金9,000円が残ったままです。

 

 

 

②翌月徴収

3月分の社会保険料は、4月の給料支給分から徴収します。(4月末)

借方 金額 貸方 金額
給料 100,000円 預り金 9,000円
    普通預金 91,000円

 

 

 

そして、4月末に3月分の社会保険料18,000円を支払います。(4月末)

借方 金額 貸方 金額
法定福利費 9,000円 普通預金 18,000円
預り金 9,000円    

 

 

よって4月末の時点では、預り金は残っていません。

 

 

 

 

上記の例題で、翌月徴収のところを当月徴収と勘違いして、経理処理してしまった場合は、次のようになります。

 

まず3月分の給与支給時の仕訳です。(3月末)

借方 金額 貸方 金額
給料 100,000円 預り金 8,000円
    普通預金 92,000円

 

 

この預り金8,000円は、2月分の社会保険料です。

ただ当月徴収と勘違いしているため、3月分の社会保険料と認識しています。

 

 

そして、4月末に3月分の社会保険料18,000円を払います。(4月末)

借方 金額 貸方 金額
法定福利費 10,000円 普通預金 18,000円
預り金 8,000円    

 

 

上記は誤った仕訳です。

3月分の社会保険料は3月の給料より徴収したと思っているので、預り金の金額を8,000円としてしまっています。

正しい預り金は9,000円なので、1,000円のズレが発生しています。

そして法定福利費の金額も1,000円のズレが生じています。(正しいのは9,000円)

 

 

まとめ

今日は社会保険料の仕訳のうち、当月徴収と翌月徴収についてみてきました。

社会保険料の仕訳は簡単にみえますが、当月徴収と翌月徴収を勘違いして経理処理してしまうと、ズレが発生してしまいます。

自社がどちらの徴収方法を採用しているか、またそれぞれどのような経理処理になるかを確認しておきましょう。

 

 

※この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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