法人税はどうやって計算する?計算の基礎を押さえておこう

会社など法人の所得に対しては法人税という税金がかかります。

今日はこの法人税を計算する上で、所得やその計算方法、税率などの基本的な項目についてみていきます。

 

※本記事は中小企業を対象とした内容となってます。

※本記事の税率は平成30年4月1日以後に開始する事業年度に適用されるものです。

法人税

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法人税の計算式

法人税は次の計算式で求めます。

①益金ー損金=所得

②所得*税率ー税額控除=法人税

 

それでは順番にみていきましょう

 

①益金ー損金=所得

益金、損金、所得とは会計上の収益、費用、利益にあたります。

会計上と法人税法上の概念が違うため、全く同じではありません。

よって、

収益≒益金

費用≒損金

利益≒所得

となります。

 

法人税の計算は、益金と損金の差額で所得を計算するのですが、最初から益金と損金を計算していくのは大変です。

そこで類似する会計上の収益と費用を使います。

収益と費用の差額で求めた利益を法人税法上の概念に調整して所得を算出します。

よって所得を計算する式は、次の計算式に置き換えることができます。

収益ー費用=利益

利益+調整額=所得

 

この会計上と法人税法上の違いによる調整額は、例えば「交際費の損金不算入」という規定があります。

会計上、交際費は事業に使ったものなら上限なく費用となります。

法人税法は上限があります。

1年間で800万円までと上限が決まってます。800万円を超える部分は損金として認めてもらえません。

 

具体的な数字で見てみます。

具体例

  • 収入5,000万円
  • 費用4,000万円(うち交際費が1,000万円)

 

この場合、会計上は交際費が全額費用となりますので、

5,000万円ー4,000万円=1,000万円が利益となります。

 

次に法人税法上ですが、交際費は800万円までしか認められないので、800万円を超える部分の金額200万円(1,000万円ー800万円)は損金になりません。

よって損金は4,000万円でなく3,800万円となります。

所得を計算すると

5,000万円ー3,800万円=1,200万円となります。

利益と所得で200万円の違いが出ました。

 

実際に法人税を計算するときは、益金と損金を計算せずに

この200万円を調整額として会計上の利益にプラスマイナスします。

上記の計算式にあてはめると、

収益5,000万円ー費用4,000万円=利益1,000万円

利益1,000万円+調整額200万円=1,200万円

となります。

 

このように会計上の利益に調整を入れて法人税の所得を計算します。

 

②所得*税率ー税額控除=法人税

所得を求めたら次は法人税の計算になります。

法人税は「所得*税率ー税額控除」で計算しますので

まずは所得に税率をかけます。

法人税の税率は以下の通りです。

  • 800万円以下の金額は15%
  • 800万円を超える金額は23.2%

 

上記の例題でいうと、

所得は1,200万円なので、

①800万円*15%=120万円

②(1,200万円ー800万円)*23.2%=92万8千円

①+②=212万8千円

となります。

 

次に法人税から直接引くことできる税額控除の適用があれば引いて計算します。

 

税額控除とは特定の機械等を取得した場合や支給した給料が増加した場合などに適用できる制度です。

(税額控除の詳細については、少し込み入った話になるので本記事では割愛させていただきます)

 

この税額控除を引いたあとの金額が、納める法人税の金額となります。

 

(税務署に納める法人税としては地方法人税もあります。地方法人税は法人税の金額に4.4%をかけて求めます。法人税と地方法人税を合わせて税務署に納める法人税となります。)

 

まとめ

今日は法人税の計算の基本的な流れをみてきました。

本記事のポイントは以下の3点です。

  • 法人税法の「益金ー損金=所得」は会計上の「収益ー費用=利益」にあたる
  • 法人税の所得は、会計上の利益に調整額をプラスマイナスして計算する
  • 法人税の税率は所得800万円を超える部分は高くなる

 

本記事は税務署に払う法人税のみの内容となっています。

法人の所得にはこの他に都道府県や市に納める税金もかかってきます。

また別の機会にご紹介したいと思います。

 

※この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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