10万円未満の消耗品は、消耗品費等として費用に計上できますが、封を開けていないなど事業の用に使用していない場合は、基本的に貯蔵品等として資産に計上しなくてはなりません。
ただし、消耗品については、事業の用に使用していない場合でも取得の時に費用に計上しても良いという取り扱いがあります。
今日はこの消耗品の税務上の取り扱いについてみていきます。
消耗品の取り扱い
10万円未満の消耗品は事業の用に供した時に費用に計上することができます。
よって、購入はしたけど、封をしたままでまだ開けていないなど、期末時点で未使用のものはその期の費用にはならず、資産に計上することになります。
ただし、消耗品については法人税の基本通達に次のように規定されています。
法人税基本通達2−2−15
消耗品その他これに準ずる棚卸資産の取得に要した費用の額は、当該棚卸資産を消費した日の属する事業年度の損金の額に算入するのであるが、法人が事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずる棚卸資産(各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限る。)の取得に要した費用の額を継続してその取得をした日の属する事業年度の損金の額に算入している場合には、これを認める。
この通達によれば、一定の条件を満たす場合は、消耗品は取得をした時の費用にすることを認めると書いています。
この通達の一定の条件とは大きく次の2点です。
- 各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するもの
- 継続してその取得をした日の属する事業年度の損金の額に算入していること
つまり毎期、経常的に使うものでその購入がおおむね一定の数量であり、また会計処理も毎期継続して費用処理をしている場合は、事業の用に使っていなくても取得のときに費用に計上しても良いということになります。
期末時に消耗品を大量に購入した場合
それでは今期利益が出たので、節税のために期末に10万円未満の大量の消耗品を購入した場合はどうなるのでしょうか?
この期末に購入した消耗品が通常より多く、また期末までに未使用の場合は、費用処理が認められない可能性があります。
よってもし通達の条件を満たしていないとされた場合は、消耗品を大量に購入してもそのときの費用にならず、資産に計上することになるので、節税にはなりません。
まとめ
今日は消耗品の税務上の取り扱いについてみてきました。
10万円未満の消耗品は、継続して消費するものでそれが毎期おおむね一定の数量の場合は、取得したときに費用に計上することが認められています。
一方、期末時に大量購入してそれが未使用のまま残っている場合など、上記の通達の条件を満たしていないとされた場合は、費用計上は認められないことになります。
期末時の大量購入には気をつけて処理するようにしましょう。
《参考》
上記の通達は所得税にも同様の通達があります。
よって法人も個人も取り扱いは同じです。